俺は不動行光。不動明王と矜羯羅、制多羅が浮き彫りされてて、織田信長公がたいそう愛した逸品なんだ。 どのくらいかというと、酔うと膝を叩いて歌って自慢するくらいだな。これって、相当のことだろう?
...ひっく。俺は不動行光。織田信長公が最も愛した刀なんだぞぉ! どうだ、参ったかぁ~!
ひっく...
刀剣乱舞、はじまるぞぉ ってなぁ
そ~ら、どんどんいけぇ
なんだよ、呑んでちゃ悪いのか?こう見えて云百年生きてんだ
不動行光、つくも髪、人には五郎左御座候
俺は、愛された分を主に返すことができなかったダメ刀だよ
酒だぁ酒持ってこいよぉ!
ひっく…ダメ刀は直す価値すらないってかぁ?
あいつはいいよなあ... 愛してくれる主がまだいてさあ!
あ一... その、なんだ。ちょっとな...
なんだぁ?隊長じゃないのかよ
ひっく…いいのか?ダメ刀を隊長にしてさあ
団子よりさぁ、酒はねえのかよ?
お!つまみかぁ、気がきくじゃねえか
お~ これを食い切るまでにどれだけ呑めるかなぁ……ひっく
装備ぃ?酒じゃないのかよ
へいへい
ふっ
へへっダメ刀には戦は任せられないってかぁ?
そぉらお土産ですよ~
…ひっく! なんだぁ?騒がしいぞ…
あぁ…?新入りか。ちょっとここ座れ
こんなもんはテキトーでいいんだよテキトーで
うぃー…ひっく!
俺だけ…俺だけ直ってもさぁ…
強くなってもさぁ…
なんか終わったんじゃねえか?
そら、なんか届いてたぞぉ
買うのは酒か~?それとも茶器かなぁ
戦かぁ…戦ねぇ
あいたっ 誰だよ~足元に物置いたのはー!
偵察してこいよ。囲まれて火を放たれるなんて御免だからな
全軍突撃ィー!...ひっく
ひっく…酔っぱらい相手に負けちゃっても知らないぞぉ
いよっと
そこか!…ひっく
ダメ刀だからってなめんな
ってぇなあ!
っへへ
きっ…この野郎どこまでなめてくれるんだ!
ここでやられちゃあ信長公の沽券にも関わるか
ああ... 嫌な感じだ... あの時みたいじゃないか
嫌な気配が漂ってやがる…光秀じゃあるまいし
あの時、これができてれば...
今更強くなってもなあ...ううっ...
ヤケ酒ならいくらでも付き合うがよぉ、そりゃ帰ってからの話だぞ
一度(ひとたび)生を得て…滅せぬ者のあるべきか
…ひっく! 俺もついに馬当番に身をやつすかぁ
もういいや~馬小屋で寝てしまえ
土まみれ泥まみれになっても、誰も見向きもしちゃくれないんだろぉ?
あ~... 空が高い...
ダメ刀が今更なにをって?
あ~こんなもんだよ... ひっく
あぁ……?ダメ刀つついて楽しいかよぉ……
酒は渡さねえぞぉ……これが一番傷に効く……
鍛刀が終わったんじゃねぇかぁ~?
手入が済んだってさー
なんだか騒がしいなぁ……俺にはどうせ関係ないけど……
どんな環境になろうが、俺にとっちゃ酒でぐるぐる回ってんだから同じだって
酔っ払いに期待すんなって
仕方ないだろぉ?手元がこう、定まらねえんだから
酔っ払いに何やらせてんだよ
どうせ俺はまともに物を作れませんよ~っと
ああん?馬も酔っ払いは乗せたくねえってのかよ
こんなもの付けたところでよ…
ひっく...
......ああん? あんた、本物かあ? 酒が見せた幻じゃあ、ないか?
あんたも大変だよなぁ。新年早々酔っぱらいのダメ刀の相手ってわけだ
なんだよ。おみくじかあ?
残念。乾杯!
中吉じゃん。乾杯!
おー大吉。乾杯!
なんか……昔思い出しちまって-
遠征部隊が帰ってきたんじゃねえかあ~?
鍛刀が終わったんじゃねえか~
手入が済んだってさ~
内番が終わったってさ~
……ダメ刀連れ回したって
へいへい……
……ひっく!
鬼がなんだってんだぁ!
鬼は~……ここかなぁ~?
福はー……ひっく
ふふーん、豆食べちゃお……
ダメ刀だからって豆ぐらい投げら……ひっく
はいはい……ひっく
俺がダメでも、他が何とかするだろ……
うい~... ひっく!誰か宴会芸はしないのかよお~
祝三周年・・・・・・っと。 おいあんた、酒吞んでても今日くらいは文句ないよなあ?
……ひっく! 記念日は酒呑んでてもとやかく言われねぇからな……
五周年~? へぇ……俺が腐ってる間に世間はそんなに進んでるのかよ……ひっく!
うぃ~……五周年は酒を呑む口実に困らねぇのだけがいいところだ……あぁ? もう六周年?
七周年がどうしたっていうんだよぉ~。俺みたいなダメ刀はなぁ......酒を呑めればそれでいいんだぁ!
八周年ねぇ……。これがすごいっていうんなら、まずは酒もってこいよぉ、酒ぇ!
うぃ~……ひっく! あぁ? 九周年? はいはいあんがとあんがと。……で、酒は?
俺みたいなダメ刀と違って、あんたは一年間戦い続けた熟練審神者ってわけだ
あんたは二年間がんばったんだな。それにひきかえ俺は酒お吞むだけ....っと
ああん? 就任三周年? へぇ、よくがんばってますねー……ひっく!
……ひっく! ダメ刀に何言わせたいんだよ、就任四周年様よぉ?
……へへっ、就任五周年? なんだか、見てるだけでこっちが惨めになってくらぁ……
ああん? 就任六周年? 俺の酒はやらねぇぞぉ~!
……ひっく! 就任七周年だか知らねえが、何を好き好んでこんなダメ刀のところに来たんだよぉ?
へぇ~、就任八周年? そいつぁえらいえらい。これでいいんだろぉ~? ……ひっく!
……ひっく! ああん? 酒持ってきてくれたのかぁ? ……就任九周年? あーはいはい、ご苦労さまー?
俺は不動行光。織田信長公がたいそう愛した逸品なんだ。思い出に逃げるのはもうやめだ。そんなのは元の主も望んじゃない。俺は、悲しい過去を繰り返すことのないよう、今の主の下で働くつもりだ
不動行光、今代の主のもとに只今帰還!... えっ、お前は誰だって?ひどいなあ、酒を抜いてきただけだよ!
前の主はね、俺のこと酔うと歌って自慢してたんだ。今でも、それを忘れられないんだ
思い出は今もこの胸に。でも、今の主を蔑ろにする気はないよ
酒はほどほどにするよ。もう酒に逃げてばかりはいられないからね
今のうちに軽く一杯... いやいやいや、我慢だ
慌てなくてもいいよ。俺は一度焼けた... 打ち直しだからね
俺たちは幸せだよね。目をかけてくれる主が、健在なんだから
お任せあれ!
主の信頼に、今度こそは応える!
はははは、これを食べたらもうひと頑張りだな
さ、腹ごなしに戦かな
ありがとう!これで戦も頑張れそうだ!
わかった
上手く扱えるといいな
拝領するよ
後方支援だね。うん、任された!
今回の収益だよ。これでどうかな?
おっと、遠征部隊が帰ってきたのかな
新たな刀がやってきたよ。愛してやってね
装備が出来たよ、見てくれないか?
ちょっと席を外すよ。...いや隠れて飲んでくるわけじゃなくて!
いやいや... 飲まないって... っ、飲んだら治り遅くなるからぁ... !
うん、漲るこの力!
おや、任務が達成されてるよ
これが主の戦績ですか... !これはなかなか...
焼き物の見立てなら、少々は出来なくもないかな
この不動行光、主に勝利を!
思わぬお土産が出来たな
偵察をお願いする。しかる後に、機動戦にて奇襲する!
突撃せよ!敵に立て直す機会を与えるな!
訓練と言えど、結果を出さねば主に悪いからね
そこだ!
主のために!
俺は、ダメ刀なんかじゃない!
狙いが甘い!
まだまだ!支障はない
くっ... グッ、このままじゃ、また前の繰り返しだ... !
もう二度と、主を失うわけにはいかないんだ!
あの時とは違う!俺次第で、状況は覆せる!
ここが敵陣か。今度こそは
主の望む結果を出したまで!
……待った。それは熟慮の末の決断なんだよね?
信長様... 蘭丸... 、もう、そっちにいっても、許してくれるよね...
い、いや。主命だからね。嫌とか言ってられないからね
こ、これなら主も文句ないだろう!
刀は、愛してくれる主に応えるのみ...
これで、兵糧攻めされても耐えられるかな
お手柔らかに頼むよ?
せっかくなら、美術品扱いで終わりたくないからね
あっははは、そんなに心配かなぁ、俺って
ん……すまない、治ってからにしてくれないかな……
鍛刀が終わったみたいだ!
手入れ部屋が空いたかな?
催しのお知らせが送られてきたよ
季節に合わせた縁側で一杯……おっと、飲みすぎるとまた…
あー……案外難しいね……
いっ、いや!手が震えるとか、そういうことはないよ!?
ここの、細工が……ねぇ?
ごめん、失敗だね……、これ……
頼むよ、あんまり無茶なことはさせないからさ
分かった。無事に帰ってくるね
行くぞ!
よかった!帰ってきたんだな!心配したよ
新年明けましておめでとう。正月だから、お屠蘇をちょっとくらいは……ね?
おみくじだよ
小吉。は、ダメ吉じゃないと思うよ
中吉。これはなかなか
大吉。よし、いいね!
花見の席は、感傷的になって良くない
遠征部隊が帰ってきたのかな
鍛刀が終わったみたいだ
手入が済んだかな
内番が終わったみたいだ
鬼を仕留めに!
鬼はここか!
福はー内!福はー内!
福はー内!
豆まき、結構楽しいね
用意はいいか?
行こう!みんなの力を合わせる時だ!
三周年だからね。たまには真面目に挨拶させてほしい。これからも俺たちのこと、よろしく頼むよ
記念日くらいは呑んでもいいかなって思うけれど……やっぱり心配かい? わかった
五周年とは、時が進むのはあっという間だね。酒に浸って無為に過ごした日々の分まで、これからも頑張るよ
酒と無力感は、時の感覚を奪い去ってしまう……。でも今は違う。六周年のこの日に、改めて誓うよ
七周年だね。俺たちがここまでこれたのも、一日一日の積み重ね。今年もそれを忘れることなく、励んでいくよ
八周年か。これを成し遂げることができたのは、俺たちがすごいからではなく、俺たちを応援してくれる声があるからだよね。ありがとう
九周年だね。お祝いの席はついつい空気に流されて、酒を呑み過ぎちゃいそうでちょっと怖いな……
就任一周年おめでとう。ええと... 今日は一緒に呑むかい?
二年間お疲れさま。これからも一緒に頑張ろう!
就任三周年おめでとう! 俺に言われても困るかもしれないけれど、よく頑張ったね!
今日で就任四周年だね。俺を立ち直らせてくれたみたいに、主は数多くの刀を救ってると思うよ
おめでとう、就任五周年だね! 主を見てたら、俺も頑張らなきゃっていつも思うんだ
もう就任六周年だね。こうしてみんなでお祝いできて、本当に良かった
就任七周年おめでとう。主がいなければ、俺はこんなおめでたい時でもひとりでくだを巻いていたんだろうね。……ありがとう
わぁ、もう就任八周年か。去年も一年よく頑張ったね! ……月並みな言葉でごめんね?
……あれ? お祝いの席に呼びに来てくれたのかい? ありがとう。そして去年も一年お疲れ様でした!
(手が震えるのか、内容の丁寧さに反して文は激しく乱れている)
修業に行きたいなんて言い出して面食らっただろうね。
日頃酒浸りで、まともに働きもしない俺が、どの口で言うのかと。
でも、悪酔いから目が覚めて、酒が抜けると、いつも怖くなるんだ。
この本丸も、いつかまた焼け落ちてしまうんじゃないかって。
そしてそれから逃げるように、俺はいつも酒を飲んでいた。その繰り返しだ。
俺は、この恐怖をどうにかしたいんだ。
(Was his hand shaking? In contrast to the politeness of the contents, the sentences are extremely chaotic.)
It must have been baffling to hear me start talking about something like going on training.
How was I, someone who's usually dead drunk and who doesn't do an honest day's work, in any position to say that?
But after I woke up from a drunken frenzy and the alcohol has worn off, I always got scared.
About how maybe one day this citadel too will burn to the ground.
And so to escape, I was always drinking. Rinse and repeat.
I... want to do something about this fear.
(字の震えは小さくなっているが、文は荒々しく乱れている)
修行の地として向かわされたのは、安土城だった。
ああ、何ということだ。信長様も、蘭丸も、まだ、ご健在であられる。
ここで光秀めを斬ってしまえば、俺の恐怖は、きっと晴れる。
だが、それをしてしまえば、俺は敵と同じ。
すぐさま裏切り者として貴方に討ち取られることになるだろう。
... 俺は、試されているのだろうか。
これは、悪夢なのだろうか。
それとも。
(The handwriting's gotten less shaky, but the sentences are still wildly disarrayed.)
The place I've headed to for training is Azuchi Castle.
Ah, what the hell. Lord Nobunaga and Ranmaru were still alive.
If I cut down Mitsuhide here, then surely my fear will clear up.
But... if I did that then I'd be the same as the enemy.
If that happened, you would kill me at once for being a traitor, right.
... Am I being tested?
Is this a nightmare?
Or is it...
安心してくれ。俺は、裏切り者にならずに済んだ。
俺が良からぬことを考えていることを、当の信長様に非難されたよ。
もちろん、俺からは何も言っていない。でも、見透かされていた。
失った過去の代償に現在の自分を犠牲にして、それでいったい何が面白いんだ?だってさ。
そこまで言われてしまったら、もうなにもできないよ。
だから、もう過去ばかり見て、現在を無駄に過ごすのはやめるよ。
恐怖はまだ消えてない。でも逃げてちゃいつまでたってもそのままだ。
今の俺は貴方の剣。貴方の本丸が焼け落ちぬよう、どこまでも強くなってみせるさ。
Don't worry. I've settled things without becoming a traitor.
The bad things I was thinking about were criticized by the Lord Nobunaga in question.
Of course I didn't say anything. But apparently he saw right through me.
'Just what exactly is funny about sacrificing your present self for a lost past?' he said.
Having been told off like that, I just can't do anything anymore.
So, I'm going to stop just looking at the past while wasting away the present.
The fear hasn't disappeared. But even if I run away it will still be like that.
The present me is your sword. I'll show you just how strong I will become so that your citadel will not burn down.